“真摯(まじめ)” の例文
旧字:眞摯
百人に一人位真摯(まじめ)なものもあるかも知れないが、大抵は卒業すると直ぐ気障(きざ)な扮装(なり)をして新聞受売の経済論や株屋の口吻(くちまね)をしたがる。
青年実業家 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
恁(か)うして貴女と話してると、何だか自然に真摯(まじめ)になつて、若々しくなつて、平生考へてる事を皆言つて了ひたくなる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私がかつてある所で部落の歴史を講話した際に、聴衆の一人はきわめて真摯(まじめ)にこんなことを問いました。
融和促進 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
万事(よろづ)に生々とした健の烈しい気性——その気性の輝いてゐる、笑ふ時は十七八の少年の様に無邪気に、真摯(まじめ)な時は二十六七にも、もつと上にも見える渠の眼
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
嬢様も此人の真摯(まじめ)な偽りのない真情(まごころ)には余程動かされて同情の涙をお濺(そゝ)ぎなすつたらしいが、実に御道理(ごもつとも)だ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
『モ少許(すこし)真摯(まじめ)に考へて見ませう……若し那(あ)の際、那処(あそこ)に居たのが貴女でなくて別の人だつたらですね、僕は同じ行動(こと)を行(や)るにしても、モツト違つた心持で行(や)つたに違ひない。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
葡萄牙(ポルトガル)のピントー以来日本に渡来した外人は数限りも無いが、真に学者として恥かしからぬ造詣を蓄えて、学術研究の真摯(まじめ)な目的を抱いて渡来し、大にしては世界の学界に貢献し
「何笑ひおる、」と伊勢武熊は真摯(まじめ)に力味(りきみ)返つて、「功名(こうみやう)咄(ばなし)をするやうぢやがナ、此前(このぜん)牛飼君が内閣の椅子を占められた時、警部長の内命を受けたが、大丈夫豈(あに)田舎侍を甘んぜんや。 ...
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
行末怎(ど)うなるのか! といふ真摯(まじめ)な考への横合から、富江の躁(はしや)いだ笑声が響く。ツと、信吾の生白い顔が脳(あたま)に浮ぶ、——智恵子は厳粛(おごそか)な顔をして、屹と自分を譴(たしな)める様に唇を噛んだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
偶(たま)/\律儀真方(まつぱう)の人なら神野霜兵衛さんのやうな世間に技倆(はたらき)の無い好人物(おこゝろよし)だ子。真摯(まじめ)な思慮のある人間が誰が女の許へ来るもんかナ。邸の嬢様は立派な御発明な方だから男に呑まれるやうな事は無い。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)