やう)” の例文
絳雪『故の土移しがたし、君に告げまつらむもやうなし。君が妻だにみこころのままならざりき。さるをわれは友なるをや。』
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
さればこそいにしへのかしこき人は、もとめてやうあればもとめ、益なくばもとめず、おのがこのむまにまに世を山林にのがれて、しづかに一生を終る。
やうも無き流竄るざんの日に白鳥はたゞ侮蔑のきぬまとふ。
白鳥 (旧字旧仮名) / ステファヌ・マラルメ(著)
今は身の仇、やうも無き二つのかいと曳きぬらむ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
君が今日家の子をしやうじ給ふにでて、翁が思ふ三四こころばへをもかたりなぐさまんとて、かりかたちあらはし侍るが、十にひとつもやうなき閑談むだごとながら、三五いはざるは腹みつれば
やうゆう逸氣はやりぎは、たゞいち早く悔いぬらむ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
爭はざりき、爭ふもやうなき世や
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
永くりてやうなきを思ひて、賢弟が菊花のちぎりある事をかたりて去らんとすれば、経久うらめる色ありて、丹治にれいし、吾を九九大城おほぎの外にはなたずして、つひにけふにいたらしむ。