留金とめがね)” の例文
コルセットの留金とめがねが引き釣ってきっと靴下の上部に筋切れがしてるに相違ない巴里パリー下りのマドモアゼル——でみ・もんでん——や
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
コノ種類ノネックレスハ国産品ニモシバ/\見受ケルガ、背後ノ後頭部ニ附イテイル留金とめがねニイロ/\ナ宝石ガちりばメテアッテ、コノ真似ガ国産品デハ出来ナイノデアル
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
すっかり疲れ果てて身を動かすこともできなかったのである。それから背中の背嚢が邪魔になり、またそれは、ありあわせのまくらとなるので、負い皮の留金とめがねをはずしはじめた。
彼女のくつにつけてやるためにもって来た銀の留金とめがねであった。靴から出てる小さな足先に手を押し当てた夕のことを、彼は思い出した。その小さな足も、今はどこにあるのか。
へやは二階のはしで、窓のそばに、大きな雨樋あまどひが地面までつゞいてゐました。エミリアンはそのとひ留金とめがねに片手でつかまり、樋に両足をかけると、そのまゝ、するすると滑りおりました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
代助は花瓶くわへい右手みぎてにあるかさねの書棚しよだなまへへ行つて、うへに載せた重い写真帖を取りげて、ちながら、きん留金とめがねはづして、一枚二枚とり始めたが、中頃迄てぴたりとめた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
代助は花瓶の右手にある組み重ねの書棚の前へ行つて、上に載せた重い写真帖を取り上げて、立ちながら、金の留金とめがねを外して、一枚二枚と繰り始めたが、中頃まで来てぴたりと手を留めた。
……表面からながめただけではわかりませんが、ごく些細な点で……たとえば裏の留金とめがねの締まり工合とか、硝子のめ工合とか、よほどよく宝物を知っていなければ、これだけの偽物は作れないと
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)