画室アトリエ)” の例文
旧字:畫室
ロオランスの出るジユリヤンの画室アトリエの前にある珈琲店カフエエで皆𤍠い珈琲カフエエ麺麭パンとを取つてやす朝飯あさめしを腰も掛けずにすませた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
それは熊岡氏の画室アトリエから小鼓のが聞え出すと、帽子掛から帽子しやつぽをそつと取りあげて、鼠のやうにこそ/\逃げ出してしまふのだ。それに気づいた或る友達が
二人の私服に挾まれて、画室アトリエ衣の青年が黙然とたばこを喫らしている。——それが厨川朔郎だった。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ロオランスの教へに来る画室アトリエを参観にかうと徳永に約束がしてあつたので珍らしく早起はやおきをした。その晩には薄い初雪が降つた程朝から寒い日であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
どんなお天気のいゝ日でも、鳶が空で気まぐれな唄をうたつてゐる日でも、画室アトリエの窓から入つて来る満谷氏の謡曲うたひを聴くと、妙に気が滅入つてどうしても筆が進まない。
近頃巴里パリイではう云ふ新しい画家の画室アトリエへ通ふ青年画家が月ごとえてさうだ。もつとも長谷川はう言つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
すると、熊岡氏の画室アトリエから小鼓こつゞみがぽんぽん聞え出した。狸の腹鼓はらつゞみのやうなおとである。
洋画家の満谷みつたに国四郎氏はこのごろ謡曲に夢中になつて、画室アトリエで裸体画の素描デツサンる時にも、「今はさながら天人てんにん羽根はねなき鳥の如くにて……」と低声こごゑうたひ出すのが癖になつてゐる。
六階の画室アトリエに居ることを忘れて
そして広々ひろ/″\とした画室アトリエ