町年寄まちどしより)” の例文
取調役はそれをひらいて、いちの願書がんしょと引き比べた。いちの願書は町年寄まちどしよりの手から、取り調べの始まる前に、出させてあったのである。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「しかたがありませんから、町年寄まちどしよりへ泣きついて、いくらかお慈悲を仰ごうじゃありませんか」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月番つきばん町年寄まちどしより立会たちあいの上で、おろおろしている伊豆伍夫婦にお上の一書を渡した。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
足下きみ昨夜ゆうべはマブひめ(夢妖精)とおやったな! 彼奴あいつ妄想もうざうまする産婆さんばぢゃ、町年寄まちどしより指輪ゆびわひか瑪瑙玉めなうだまよりもちひさい姿すがたで、芥子粒けしつぶの一ぐんくるまひかせて、ねぶってゐる人間にんげん鼻柱はなばしら横切よこぎりをる。
舟引地町ふなひきじまちの紙屋と云う家に泊って、町年寄まちどしより福田某に尋人たずねにんの事を頼んだ。ここで聞けば、勧善寺の客僧はいよいよ敵らしく思われる。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこで与力よりきにはこう言った。この願書は内見したが、これは奉行に出されぬから、持って帰って町年寄まちどしよりに出せと言えと言った。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
桂屋太郎兵衛の刑の執行は、「江戸へ伺中うかがいちゅう日延ひのべ」ということになった。これは取り調べのあった翌日、十一月二十五日に町年寄まちどしよりに達せられた。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
此願書は内見したが、これは奉行に出されぬから、持つて歸つて町年寄まちどしよりに出せと云へと云つた。
最後の一句 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)