生埋いきうめ)” の例文
半「そんな事を云ってもいかんよ、悪事を平気な泥坊とはいいながら、目をまわしたなりお蘭さんを此の本堂の下の石室いしむろの中へ生埋いきうめにしたね」
そうして遠くから見ると、砂の中へ生埋いきうめにされた人間のように、頭だけ地平線の上に出していた。支那人の中には、実際生埋になって湯治とうじをやるものがある。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それによると、この女はさる大官の一人娘だつたが、流行病はやりやまひにかゝつたので、その頃の習慣ならはし通り、まだ息を引取らぬうち生埋いきうめにしたものだといふ事が判つた。
頃来このごろ書肆駸々堂主人一小冊を携えて来り、居士に一言をかんせん事を望む、受て之をけみすれば、即ち三遊亭圓朝氏のえんぜし人情談話にんじょうばなし美人びじん生埋いきうめを筆記せるものなり。
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
……歌がきこえる、生埋いきうめになつた
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
生埋いきうめの一行
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何うも生きて居ては操が立たんから自害をさしてくれと云った、な、これ仮令たとい悪事を知ったとて人を生埋いきうめにするような人非人にんぴにんの其の方でも
簀巻すまきにして川へほうり込むか、生埋いきうめにして憂目うきめを見せて遣ります、姉さん今にお医者様が来ますから、確かりしてお呉んなさい
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
半「成らんも成るもあるものか、くもお蘭さんを生埋いきうめにしやアがったな、此の坊主、ふてえ奴だ、お蘭さんの代りに此の中へ這入へえれ、間抜めが」
なんでしょうか生埋いきうめにするなどというと、わっちも人情として誠に困りますがねえ、何を悪い事をしたか、どう云う訳ですえ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
真桑瓜は腹のいた時のしのぎになる腹にたまる物だが、うっかり取る処を人に見られゝば、野暴のあらしの刑で生埋いきうめにするか川に簀巻すまきにしてほうり込まれるか知れんから、一個ひとつぎって食う事も出来ぬが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)