理不尽りふじん)” の例文
旧字:理不盡
理不尽りふじんでもあるし、突然な狼藉ろうぜきぶりだ、お吟ひとりに向って、十名以上の大の男が押しかぶさって来て縄にかけようとするのである。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
理不尽りふじん阿魔女あまっちょが女房のいる所へどか/\へいって来て話なんぞをしやアがって、もし刃物三昧はものざんまいでもする了簡りょうけんなら私はたゞは置かないよ
そしてちょっとすかされたように気勢をそがれたが、どんどんわき上がるように内部から襲い立てる力はすぐ葉子を理不尽りふじんにした。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
頭の悪い上に了簡りょうけんの狭いことをくどくど云った。親爺の応対ははじめは冗談かと思うほどに、理不尽りふじん極まるものであった。私も中腹ちゅうっぱらになった。
安い頭 (新字新仮名) / 小山清(著)
その男は彼の顔を見ると、まるで百万の味方にでもったように、嬉しそうに眼を輝かせながら、相手の若者たちの理不尽りふじんな事を滔々とうとうと早口にしゃべり出した。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
……といったようなわけでありまして、憎むべき烏啼天狗は理不尽りふじんにもわが最愛の妻を奪取しようというのであります。およそかかる場合において、夫たる身ほど心を
自分ながら、思わぬ昂奮からややめてみると、あたりの光景がもう許さないものになっている。理不尽りふじんに人を斬った狼藉ろうぜき武士——袋叩きにしろ、やっつけてしまえ、という空気がわき立っている。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
〈誰かがおれに理不尽りふじんなことをしている〉
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
「やあ、理不尽りふじんな。道誉にも会わさず、ムザとやいばくだしてみよ、その刃へみついて、なんじらの頭上へ、呪いのいかずちを呼び降ろしてくれるぞ」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのわけは、ハルピン虎がその地で或る重大な悪事を犯しているところを、領事である亡父準之介に見られたため、理不尽りふじんにも執務中の父を薄刃の短剣で背後から刺し殺したのだった。
鍵から抜け出した女 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「これは理不尽りふじんな」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
理不尽りふじんにも、土足のまま、小舟の中へおどり込んできた者たちは、たちまち、とまをはねて、川の中へ蹴散けちらかし
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
理不尽りふじんに乗り越えては、兵庫めが云う通り、此方こちらの落度になり、彼奴きゃつには思うつぼにはまるわい。忌々しいが胸を撫でて——。な、これ……此処は胸を撫でて』
夕顔の門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「詫び証文を貰いにきた。さあ書け。——昨夜はなんのとがもない人間に、理不尽りふじんな縄目をかけ、まことに相すまぬ落度であった——と、詫び状一札書いて渡せ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「遠方から来た者です、へい、この地方に、お訪ねしたいお人があったのに。……そ、それを理不尽りふじんにも、いきなり縄目にかけやがッて。……あて、アててて」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おお、良家の娘を誘拐かどわかそうとする理不尽りふじんな奴、それを、斬り捨てたが何と致した」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、こちらも理不尽りふじん。気にかけられるな。……ところで、其許そこの名は」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なに奴だっ。なに奴が、かかる理不尽りふじんを」
理不尽りふじんな、徳川」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
理不尽りふじんである」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
理不尽りふじんな」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
理不尽りふじんッ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)