玄庵げんあん)” の例文
命じておくと、右門は伝六とたもとを分かって、ただちにお牢屋づきの官医、玄庵げんあん先生のお組屋敷へたち向かいました。
そこで町内の本道(内科医)の玄庵げんあんさんに訊いてみますと、そのお医者の申すには、私もそれは不思議に思っているが、確かな証拠がないことを、差出がましく申出でて
通称ははじめ玄庵げんあんといったが、家督の年の十一月十五日に四世道陸と改めた。儒学は柴野栗山しばのりつざん、医術は依田松純よだしょうじゅんの門人で、著述には『容安室文稿ようあんしつぶんこう』、『定所詩集』、『定所雑録』等がある。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
玄庵げんあんは、夜着よぎしたれて、かるく菊之丞きくのじょう手首てくびつかんだままくびをひねった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
相手は医者の玄庵げんあんだった。
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで町内の本道(内科醫)の玄庵げんあんさんに訊いて見ますと、そのお醫者の申すには、私もそれは不思議に思つて居るが、確かな證據がないことを、差出がましく申出でて
医者いしゃ玄庵げんあんをはじめ、つまのおむら、座元ざもと羽左衛門うざえもん、三五ろうひころう、その人達ひとたちが、ぐるりと枕許まくらもと車座くるまざになって、なにかひそひそとかたっているこえが、とおくに出来事できごとのようにきこえていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
先刻ご官医玄庵げんあん先生から耳に入れた、あの破牢罪人の右乳の下にあったといういぶかしき卍のいれずみと一致すべきものでしたから、右門の眼の烱々けいけいと火を発したことはいうまでもないことで——。
玄庵げんあんこえは、ひくおもかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)