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猿樂町
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さるがくてう
舊の
猿樂町の
彼の
家の
前で
御隣の
小娘と
追羽根して、
彼の
娘の
突いた
白い
羽根が
通り
掛つた
原田さんの
車の
中へ
落たとつて、
夫れをば
阿關が
貰ひに
行きしに
猿樂町を
離れたのは
今で五
年の
前、
根つからお
便りを
聞く
縁がなく、
何んなにお
懷しう
御座んしたらうと
我身のほどをも
忘れて
問ひかくれば、
男は
流れる
汗を
手拭にぬぐふて