)” の例文
旧字:
ある年の秋の事とか、中将微服して山里にり暮らし、ばばひとり住む山小屋に渋茶一わん所望しけるに、ばばつくづくと中将の様子を見て
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
いわゆる取るものも取りあえず! そういう心持ちにり立てられ、部屋を飛び出して行ったのは、可哀そうでもあれば当然とも云えよう。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
人は目を閉じて見まいとしても、又眠っても、その光が想像に浮かんで来る。確かに地獄の底から、人をりに出た悪魔の眼である。人はその光に駆り立てられ、逃げ廻っている様なものだ。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
「まあ経験して見たまえ。そりゃ容易にり尽せるもんじゃないぜ」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
渠等かれらこそ、山を貫き、谷を穿うがって、うつくしい犠牲をるらん。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
双翅類をばり集め
足音の主は宮川茅野雄で(何が内陣に置かれてあるか、ちょっと調べて見たくなった)——この心持が茅野雄をって、今や歩ませていたのであった。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「というのは我らのご主君には、天下をくつがえす謀叛人が、領地内にいるのは不都合千万、り取れとあってお城より、兵を出しましてござりますからじゃ」
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
、近日お目にかけようと思う。だが城内の人達だけでは目先が変わらなくて面白くない。百姓町人の隔てなく、木曽一円にふれを出し、見目みめよい男女をり集めるよう
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「云ってやれ云ってやれ、云ってやれ!」そこで私はり立てられたように、云い得べくんば物に憑かれたように、いやらしいまでに能弁に、こんな塩梅あんばいにまくし立てた。
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これに勇気をり立てられ、窮鼡の多治見の郎党ばらは、籠手こて脛当すねあてそこそこにして、太刀を抜き長柄をふるい、槍をしごいて館を走り出で、ヒタヒタと門ぎわへ押し出した。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「例の恐るべき人物と、大弐や右門の後胤や一味を怨んでり取れと申しておるのだ」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
というのは官位の高いお方や、身分のりっぱな人たちや、私どものようなやくざ者までが、一網打尽にり取られて、流されもすれば押し込められもし殺されもするのでございますよ。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一旦陣は引いたが正成め、新手の大軍をり催し、押し寄せ来る手段と見える。まことたたかい一度もせず、残念に思っていたところ、押し寄せ来るこそ却って幸い、迎えって雌雄しゆうを決しようぞ。
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
で、言葉に熱気をもたせて、り立てるように口説き出した。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)