爺様じいさん)” の例文
旧字:爺樣
突然いきなり爺様じいさんの背中へつかまると、手水鉢のわきに、南天の実の撓々たわたわと、霜に伏さった冷い緋鹿子ひがのこ真白まっしろ小腕こがいなで、どんつくの肩をたたくじゃないか。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
青眼爺様じいさんは白髪小僧の藍丸王が飲み干した盃を受け取って、傍の小供に渡すと直ぐに又眼くばせをして、六人の小供を皆遠くの廊下へ退しりぞけて、ただひとり王の前にひざまずいて恐る恐る口を開いた——
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
いや、名歌めいかはしばらく預ッておいて、本文ほんもんかかろう。そうこうしているうちに船頭が出て来た。見ると疲曳よぼよぼ爺様じいさんさ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
爺様じいさん鉈豆なたまめのような指のさきで、ちょいと押すと、そのされたのがグググ、手をかえるとまたほかのがググ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
誰も居ないと見定めると、直ぐに、娘をわきへ推遣おしやって、手代が自分で、爺様じいさんの肩をたたき出した。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(はい、ただいまあの爺様じいさんが、さよう申しましたように存じますが、夫人おくさまでございますか。)
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
爺様じいさん、まあここにお坐り。下じゃたまらない、まるで釜烹かまうでだ。どうだい、涼しかろ。」
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おい、君、最少もすこしそっちへ寄ッた。この爺様じいさん半座はんざを分けるのだ。」
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
晃 鐘撞が住む小屋で、一昨年おととしの夏、私が来て、代るまでは、弥太兵衛やたべえと云う七十九になる爺様じいさんが一人居て、これは五十年以来このかた、いかな一日も欠かす事なく、一昼夜に三度ずつこの鐘を打っていた。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「笑い事ではない。何かお爺様じいさんに異状でもありましたか。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
爺様じいさん、この里では、今時分手毬をつくか。)
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夫人 お爺様じいさん
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)