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煢然
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けいぜん
ふりがな文庫
“
煢然
(
けいぜん
)” の例文
むしろ我が
孤
(
みひとつ
)
の
煢然
(
けいぜん
)
たる影をも納めて、野に山に棄つるがごとく、絶所、
僻境
(
へききょう
)
を望んで飛騨山中の電信局へ唯今赴任する途中である。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人やゝもすれば、人生を夢幻と云ひ、
空華
(
くうげ
)
と云ふ、一念
茲
(
ここ
)
に至れば、空華の根柢に充実せる内容あり、夢幻の
遷転影裡
(
せんてんえいり
)
猶且
(
なほか
)
つ
煢然
(
けいぜん
)
たる永久の
覚醒
(
かくせい
)
あり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
杖笠を棄てて
彳
(
たたず
)
んだ順礼、
道
(
どう
)
しゃの姿に見せる、それとても行くとも
皈
(
かえ
)
るともなく
煢然
(
けいぜん
)
として独り
佇
(
たたず
)
むばかりで、往来の人は
殆
(
ほとん
)
どない。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私はただ
屏風
(
びょうぶ
)
の
巌
(
いわお
)
に、一介の
栄螺
(
さざえ
)
のごとく、孤影
煢然
(
けいぜん
)
として独り
蓋
(
ふた
)
を堅くしていた。とにかくです、昼夜とも、その連中に、いまだかつて、顔を見せなかったのが、お絹なんです。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三
角
(
すみ
)
先生
(
せんせい
)
に
宜
(
よろ
)
しく、と
挨拶
(
あいさつ
)
して、ひとり
煢然
(
けいぜん
)
として
峠
(
たふげ
)
を
下
(
くだ
)
る
後態
(
うしろつき
)
の、
湖
(
みづうみ
)
は
広大
(
くわうだい
)
、
山毛欅
(
ぶな
)
は
高
(
たか
)
し、
遠見
(
とほみ
)
の
魯智深
(
ろちしん
)
に
似
(
に
)
たのが、
且
(
かつ
)
軍
(
いくさ
)
敗
(
やぶ
)
れて、
鎧
(
よろひ
)
を
棄
(
す
)
て、
雑兵
(
ざうひやう
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
落
(
お
)
ちて
行
(
ゆ
)
く
宗任
(
むねたふ
)
のあはれがあつた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
煢
漢検1級
部首:⽕
13画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“煢”で始まる語句
煢々