そゝ)” の例文
もとは檀家の一人成しが早くに良人を失なひて寄る邊なき身の暫時こゝにお針やとひ同樣、口さへ濡らさせて下さらばとて洗ひそゝぎよりはじめてお菜ごしらへは素よりの事
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
山林に身を苦しめ雲水に魂をあくがれさせては、墨染の麻の袂に春霞よし野の山の花の香を留め、雲湧き出づる那智の高嶺の滝の飛沫しぶき網代小笠あじろをがさ塵垢ぢんくそゝぎ、住吉の松が根洗ふ浪の音
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
雪枝ゆきえ満面まんめんくれなゐそゝいで、天守てんしゆむかつてみねよりたか握拳にぎりこぶしげた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もとは檀家だんかの一にんなりしがはやくに良人おつとうしなひてなき暫時しばらくこゝにおはりやとひ同樣どうやうくちさへらさせてくださらばとてあらそゝぎよりはじめておさいごしらへはもとよりのこと
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)