濫觴らんしやう)” の例文
中にも矢毒は原始人類にとりて必要くべからざるものであり、又人間を毒殺するてふことの濫觴らんしやうとも見られぬでもない。
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
西洋演劇研究の書今は多く出でたれど、その濫觴らんしやうをなせしものは永井徹が著したる各国演劇史の一巻ならん。
貿易の濫觴らんしやうは海賊なり、と云はれてゐるが、当時の日本に具眼の武将政治家があつて、この八幡船隊の活動に、統制と指揮とを与へたならば、日本の勢力は数百年前に
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
精神界の改革は、軽蔑せられ、迫害せられ、殺されたる少数者の手に因りて濫觴らんしやうせり。
信仰個条なかるべからず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
友人いうじん嘿斎翁ぼくさいをういはく、(堀の内の人、宮治兵衛)花水祝ひといふ事は淡路宮あはぢのみや瑞井みづゐ井中ゐちゆう多遅花たちばなおちたるさちありし事の日本紀に見えたるに濫觴らんしやうして、花水のがうこゝに起立おこれるにやといはれき。
落語らくご濫觴らんしやうは、昔時むかし狂歌師きやうかし狂歌きやうかひらきときに、たがひに手をつかねてツクネンと考込かんがへこんでつてはくつします、そこ其合間そのあひまに世の中の雑談ざつだんたがひに語りうて、一うつつたのが濫觴はじまりでござります。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これが、京都に止ること二十日ばかりで分裂し、芹沢せりざは、近藤等十三人が清河に反き、宿舎八木源之丞の邸前へ「壬生村浪士屯所」の看板を出したのが、所謂新撰組の濫觴らんしやうである。