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澪
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みお
ふりがな文庫
“
澪
(
みお
)” の例文
この二つの川はともにこれという源頭もなく、山野の落水を集めた川で、川というよりもむしろ沼地の
澪
(
みお
)
である。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「だからわたしが断っておいたじゃないか。——あの
妓
(
こ
)
の
情夫
(
いろ
)
は、
澪
(
みお
)
の伝兵衛という大泥棒なのだよ」
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とろりとして油のような水の面には、ほぐれ落ちた
苞
(
ほう
)
や鱗片の類が、時には何かの花弁や青い葉なども交って、
澪
(
みお
)
筋を後からも後からもと列をなして浮いて流れて来る。
釜沢行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そして不思議に二年の半ばをすぎたいまは、男の
呼吸
(
いき
)
づかいがしだいに筒井の身のまわりから、
澪
(
みお
)
がしずまるように
遠退
(
とおの
)
きつつあった。そしてこれは
詮
(
せん
)
ないことだった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
遠くの沖には
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
に
澪
(
みお
)
や
粗朶
(
そだ
)
が
突立
(
つった
)
っているが、これさえ岸より眺むれば
塵芥
(
ちりあくた
)
かと思われ
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
おやおや、弁天様のお宮の屋根が蘆の穂のスレスレに隠れて、あの松林よりも
澪
(
みお
)
の棒杭の方が高く見えますな。おや川尻は、さすがに浪が荒い、
上総
(
かずさ
)
の山の頂きを見せつ隠しつは妙々。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
読み終つた時にこの手紙を受とるといふ単純な美しい処女のお
澪
(
みお
)
さんを想つた。真面目に、そして鋭敏な処女の感情の動揺に周到な注意を払つて書いてある点など殊にうれしく読まれた。
寄贈書籍紹介
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
しかし彼は暴力の
澪
(
みお
)
の中に巻き込まれ、反抗した労働軍のあとにつづいていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
スクリュウに捲き上げられ
沸騰
(
ふっとう
)
し飛散する
騒騒
(
そうそう
)
の
迸沫
(
ほうまつ
)
は、海水の黒の中で、鷲のように鮮やかに感ぜられ、ひろい
澪
(
みお
)
は、大きい
螺旋
(
ぜんまい
)
がはじけたように、幾重にも細かい柔軟の波線をひろげている。
佐渡
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
鷹狩の連中は、
曠野
(
あらの
)
の、塚の
印
(
しるし
)
の松の根に、
澪
(
みお
)
に寄った
鮒
(
ふな
)
のように、うようよ
集
(
たか
)
って、あぶあぶして、あやい笠が泳ぐやら、陣羽織が流れるやら。大小をさしたものが、ちっとは雨にも濡れたが
可
(
い
)
い。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おまけに
澪
(
みお
)
に流されたら、十中八九は助からないんだよ。」
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「お
澪
(
みお
)
ちゃんじゃないか——そんなものを見ちゃならねえ」
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今の本名もツクツクシだが、このツクシにはもはや「継ぐ」という意味はなく、
澪
(
みお
)
の
標
(
しるし
)
のミオツクシなどと同じに、土に突立てた
榜杭
(
ぼうぐい
)
のことに解しているらしい。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
大泥棒の
澪
(
みお
)
が
紐
(
ひも
)
だという事がお
白洲
(
しらす
)
で知れたからで、伝兵衛のお仕置は、獄門と極ったらしいが、どうしても、あの妓はそれを助けたいというので、お上の
沙汰
(
さた
)
も金次第だから
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ヘエ、じゃああの金で、
澪
(
みお
)
の伝兵衛とかいう泥棒の男の
生命
(
いのち
)
が助かるんですか」
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
澪
漢検1級
部首:⽔
16画
“澪”を含む語句
澪標
澪木
上總澪
本澪
澪杙
澪標木
澪釣