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滿潮
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まんてう
滿潮の
時は、さつと
潮してくる
浪がしらに、
虎斑の
海月が
乘つて、あしの
葉の
上を
泳いだほどの
水場だつたが、
三年あまり
一度もよしきりを
聞いた
事……
無論見た
事もない。
爾時は
船から
陸へ
渡した
板が
眞直になる。これを
渡つて、
今朝は
殆ど
滿潮だつたから、
與吉は
柳の
中で
※と
旭がさす、
黄金のやうな
光線に、
其罪のない
顏を
照らされて
仕事に
出た。