渡来とらい)” の例文
旧字:渡來
しかし、火薬かやく鉄砲てっぽうも、当時とうじまだ南海の蛮船ばんせんから日本へ渡来とらいしたばかりで、硝石しょうせき発火力はっかりょくも、今のような、はげしいものではない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてこのヨウラクソウは、花の見立てから来た名、ナガサキソウは、その渡来とらいした地にもとづき名づけたものである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
小栗の人物じんぶつは右のごとしとして、さて当時の外国人は日本国をいかに見たるやというに、そもそもの米国の使節しせつペルリが渡来とらいして開国かいこくうながしたる最初さいしょの目的は
小形の牛だと言ふから、近頃青島せいとうから渡来とらいして荷車にぐるまいて働くのを、山の手でよく見掛ける、あの若僧わかぞうぐらゐなのだと思へばい。……荷鞍にぐらにどろんとしたおけの、一抱ひとかかえほどなのをつけて居る。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ここは鐘巻かねまき陣地じんちもどうよう、鉄砲紋てっぽうもんりまわしたこのなかへ、むだんで一歩たりとみこんで見よ、渡来とらい短銃たんじゅうをもって応対おうたい申すぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本にはこのシュウカイドウ科の土産どさん植物は一つもなく、ただあるものは外国渡来とらいの種類のみである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
戦後その身のかんなるがために所謂いわゆる脾肉ひにくたんえず、折柄おりから渡来とらいしたる日本人に対し、もしも日本政府にて雇入やといい若年寄わかどしより屋敷やしきのごとき邸宅ていたくに居るを得せしめなばべつかねは望まず
そもそも独楽にもいろいろござります、古くは狛江こまえ高句麗こくりゴマ、しまからわたった貝独楽べいごまも、五しきにまわる天竺独楽てんじくごまも、みんな渡来とらいでございます。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)