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涕涙
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ているい
ふりがな文庫
“
涕涙
(
ているい
)” の例文
しかるをなお強いて「戯れに」と題せざるべからざるもの、その裏面には実に
万斛
(
ばんこく
)
の
涕涙
(
ているい
)
を
湛
(
たた
)
うるを見るなり。
吁
(
ああ
)
この不遇の人、不遇の歌。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
毎晩、娘の部屋をひそかに訪問して、跪ずき、
涕涙
(
ているい
)
し、合掌して懇願していると消息通の噂になっていたほどだ。
明治開化 安吾捕物:02 その一 舞踏会殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
これを
粥
(
かゆ
)
としまた
鰹節
(
かつぶし
)
を
煮出
(
にだ
)
して
用
(
もちう
)
れば大に
裨益
(
ひえき
)
あればとて、
即時
(
そくじ
)
、
价
(
しもべ
)
を
馳
(
は
)
せて
贈
(
おく
)
られたるなど、余は
感泣
(
かんきゅう
)
措
(
お
)
くこと
能
(
あた
)
わず、
涕涙
(
ているい
)
しばしば
被
(
ひ
)
を
沾
(
うるお
)
したり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
只何故とも知らずに「
涕涙
(
ているい
)
こぼるる」である。こうなると報酬の念が出なくなる。近代文化の大禍害を癒やし得る最上の良薬はこの無報酬の念でなくてはならぬ。
僧堂教育論
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
彼らが題せる一字一画は、
号泣
(
ごうきゅう
)
、
涕涙
(
ているい
)
、その他すべて自然の許す限りの
排悶的
(
はいもんてき
)
手段を尽したる
後
(
のち
)
なお
飽
(
あ
)
く事を知らざる本能の要求に余儀なくせられたる結果であろう。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
けれど、それは、純友の
十八番
(
おはこ
)
なのだ。酔えば必ず出る語気や
涕涙
(
ているい
)
であって、叡山の日と限ったことではない。ひとつの
慷慨癖
(
こうがいへき
)
だろうくらいに将門は受けとっていた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人の間に実在的な交渉を否認してただ
関係的
(
エコノミカル
)
な交渉にしてしまわなければならなかった。これはじつに私には痛刻きわまりなき悲哀であり、苦痛であり、寂寞であり、
涕涙
(
ているい
)
であった。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
また
俗間
(
ぞくかん
)
の伝説では、昔一女子があって人を
懐
(
おも
)
うてその人至らず
涕涙
(
ているい
)
下って地に
洒
(
そそ
)
ぎ、ついにこの花を生じた。それゆえ、この花は色が
嬌
(
あで
)
やかで女のごとく、よって
断腸花
(
だんちょうか
)
と名づけたとある。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
即ち、彼は卒然と、自分の小心を恥じて、その印綬をうけ、
涕涙
(
ているい
)
再拝して
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さればこそ
陳淏子
(
ちんこうし
)
の『
秘伝花鏡
(
ひでんかきょう
)
』にも秋海棠の条下に「秋色中ノ第一ト為ス——花ノ嬌冶柔媚、真ニ美人ノ粧ニ倦ムニ同ジ」と賞讃して書き「又俗ニ伝フ、昔女子アリ人ヲ懐テ至ラズ、
涕涙
(
ているい
)
地ニ洒ギ遂ニ此花ヲ生ズ、故ニ色嬌トシテ女ノ面ノ如シ、名ヅケテ断腸花ト為ス」
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
こよい、秀吉を仰いで、
涕涙
(
ているい
)
している老人も少なくない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金子重輔は、
涕涙
(
ているい
)
して暫く、口を
緘
(
つぐ
)
んでしまった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
涕涙
(
ているい
)
、
瞼
(
まぶた
)
を衝き目くらみ
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
涕
漢検1級
部首:⽔
10画
涙
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
“涕”で始まる語句
涕
涕泣
涕垂
涕汁
涕泗