気味合きみあい)” の例文
実はかく申すせいも数年前までは『古今集』崇拝の一人にてそうらいしかば、今日世人が『古今集』を崇拝する気味合きみあいはよく存申ぞんじもうし候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
はぎの花むらを見ている静かな主水の横顔を、伝内はわきからながめていたが、主水の今日の身仕舞に軽薄なほど派手な気味合きみあいのあることに気がついた。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
小団次の斎藤大八郎、諫言の押手おして利きで、光秀と気味合きみあいの別れも応へたり。菊之助の長兵衛は難役を味くこなしたれど、人品が好すぎたり。栄三郎の同女房もよし。
新ポン教の教理は仏教に似て、そうしてまた神道しんとう気味合きみあいを持って居る教えである。ちょうど日本の両部神道りょうぶしんとうというたようなものであるが、しかし其教それよりもなお一層いっそう進んで居ります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
客座にどっしりと構えて鷹揚おうようにまださほどは居ぬ吾家うちからげた大きな団扇うちわゆるはらいながら、せまらぬ気味合きみあいで眼のまわりにしわたたえつつも、何か話すところは実に堂々として
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いわゆる女にしても見ま欲しいという目眩まぶしいような美貌で、まるで国貞くにさだ田舎源氏いなかげんじの画が抜け出したようであった。難をいったら余り美くし過ぎて、丹次郎たんじろうというニヤケた気味合きみあいがあった。
と、紫玉の手には、ずぶずぶと響いて、腐れた瓜を突刺す気味合きみあい
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ずっと前の事であるが、ある人から気味合きみあいみょうはなしを聞いたことがある。そしてその話を今だに忘れていないが、人名や地名は今は既に林間りんかん焚火たきびの煙のように、何処どこか知らぬところにいっし去っている。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
、紫玉の手には、づぶ/\と響いて、腐れたうり突刺つきさ気味合きみあい
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今日世人が『古今集』を崇拝する気味合きみあいく存申候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)