“歳月(つきひ)” の例文
三十年(ねん)と申(もう)すと現世(げんせ)ではなかなか長(なが)い歳月(つきひ)でございますが、こちらでは時(とき)を量(はか)る標準(めあて)が無(な)い故(せい)か、一向(こう)それほどにも感(かん)じないのでございまして……。
もちろんこちらの世界(せかい)には昼夜(ちゅうや)の区別(くべつ)も、歳月(つきひ)のけじめもありませぬから、私(わたくし)はただ神(かみ)さまから伺(うかが)って、成(な)るほどそうかと思(おも)う丈(だけ)のことに過(す)ぎませぬ。
その外(ほか)言葉(ことば)につくせぬ数々(かずかず)の難儀(なんぎ)なこと、危険(きけん)なことに遇(あ)われましたそうで、歳月(つきひ)の経(た)つと共(とも)に、そのくわしい記憶(きおく)は次第(しだい)に薄(うす)れては行(い)っても、その時(とき)胸(むね)にしみ込(こ)んだ