此人これ)” の例文
ここにクショ・ロケラという高僧があります。此人これはもとラサ府のテンゲーリンのテーモ・リンボチェの会計主任です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
きとほるやうに蒼白あをじろきがいたましくえて、折柄をりから世話せわやきにたりし差配さはいこゝろに、此人これ先刻さきのそゝくさをとこつまともいもとともうけとられぬとおもひぬ。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
透きとほるやうに蒼白きがいたましく見えて、折から世話やきに來て居たりし、差配が心に、此人これ先刻さきのそゝくさ男が妻とも妹とも受とられぬと思ひぬ。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此人これがまた後にチベットを出る時分に大変助けになった人ですから、ここに寄遇した事を言って置かないと後の事が分らない。ある日私はラサの目抜めぬきであるいわば
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
お別れ申すが惜しいと言つても是れが夢ならば仕方のない事、さ、お出なされ、私も歸ります、更けては路が淋しう御座りますぞとて空車引いてうしろ向く、其人それは東へ、此人これは南へ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お別れ申すが惜しいと言つてもこれが夢ならば仕方のない事、さ、おいでなされ、私も帰ります、けては路が淋しう御座りますぞとて空車からぐるま引いてうしろ向く、其人それは東へ、此人これは南へ
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わかまをすがしいとつてもれがゆめならば仕方しかたのないこと、さ、おいでなされ、わたくしかへります、けてはみちさびしう御座ござりますぞとて空車からぐるまいてうしろく、其人それひがしへ、此人これみなみ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此人これ先刻さきのそそくさ男が妻ともいもととも受とられぬと思ひぬ。
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)