曲事きょくじ)” の例文
玄関を出るときに五郎三郎は二人にささやいて、外記は魂のぬけた奴、この上にどんな曲事きょくじ仕出来しでかそうも知れない。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
愛によらざる産子さんしは、産者にとって罪悪であり、子女にとって救われざる不幸である。愛によって生れ出た子女が、侮辱をこうむらねばならぬのは、この上なき曲事きょくじである。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
モン長 それはロミオではござりませぬ、れはマーキューシオーどのゝ親友しんいうでござる。せがれ曲事きょくじ國法こくはふによってたるべきチッバルトのいのちったまでゝござります。
曲事きょくじをしたような覚えはない! 思うにおおかた人違いであろう。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
道具の売買について曲事きょくじがあったという叱責を受けて自裁じさいした。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
領主 その曲事きょくじゆゑに、即刻そっこく追放つゐはう申附まうしつくる。汝等なんぢら偏執へんしふ予等われらまでも卷込まきこまれ、その粗暴そばう鬪諍とうじゃうによってわが血族けつぞく血汐ちしほながした。わがこの不幸ふかう汝等なんぢらにもくやますため、きびしい科料くわれうくわさうずるわ。