景清かげきよ)” の例文
景清かげきよは、あれは上野の清水堂にある。いっそ趣をかえて江戸風俗の美人画でも写してみようか、では浮世絵の店借たながりをするようだ。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
中幕は「日向島ひゅうがじま景清かげきよ」で、一番目の方には何事もなかったが、中幕になってから西桟敷の劇評家連がひどく騒ぎ出した。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「何をやるんです」と坐りながら聞いたら、この道について何の素養も趣味もない嫂は、「何でも景清かげきよだそうです」と答えて、それぎり何とも云わなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
実は当年四月木挽町こびきちょうの舞台にて家の狂言「景清かげきよ牢破ろうやぶりの場を相勤めおりまする節突然御用の身とあいなり
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
本文ほんもんにはさんだ、三葉さんえふ銅版画どうばんぐわの中には、「英国俳優ヂオフライ空窖くうかう幽囚いうしうせられたる図」と云ふのがある。そのが又どう見ても、つちらう景清かげきよと云ふ気がする。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「アハハハハ。飛んだ景清かげきよのシコロ引きだ。これが泥棒だったらドウなるんだい。ハハハハハ」
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
(百樹曰、安寿は対王が妻なるよし塩尻廿二巻にいへり、猶考)西遊記(前編)景清かげきよつかは日向にあり、世の知る処なり。其母の塚は肥後国求麻くまの人吉の城下より五六里ほど東、切幡村きりばたむらにまつる。
盲目めくら景清かげきよである。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どう見ても金十郎、きんちゃ金十郎、チャララン、チャララン、チャララン、チャララン、金十郎のおきんや、景清かげきよにかまった……きんちゃ金十郎、きんちゃ金十郎」
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その時わしは閉口しながらも、ああ景清かげきよを女にしたらやっぱりこんなものじゃなかろうかと思ってね。本当は感心しましたよ。どういう訳で景清を思い出したかと云うとね。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(百樹曰、安寿は対王が妻なるよし塩尻廿二巻にいへり、猶考)西遊記(前編)景清かげきよつかは日向にあり、世の知る処なり。其母の塚は肥後国求麻くまの人吉の城下より五六里ほど東、切幡村きりばたむらにまつる。
桜痴居士作の「日蓮記」で日朗にちろう法師と明星天童子を勤め、さらに中幕の「琵琶びわ景清かげきよ」で榛沢六郎をつとめたが、日朗は召捕りの大立廻りに新手をみせ、土のろうから佐渡の別れまで幕ごとに活動して
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見たりし盆興行は団菊両優は休みにて秀調しゅうちょう染五郎そめごろう家橘かきつ栄三郎えいざぶろう松助まつすけら一座にて一番目は染五郎の『景清かげきよ中幕なかまくは福地先生新作長唄所作事しょさごと女弁慶おんなべんけい』(秀調の出物だしもの)二番目家橘栄三郎松助の「玄冶店大喜利げんやだなおおぎり」家橘栄三郎の『女鳴神おんななるかみ常磐津ときわず林中りんちゅう出語でがたりなりき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)