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明暸
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めいりょう
ふりがな文庫
“
明暸
(
めいりょう
)” の例文
とここまで
明暸
(
めいりょう
)
には無論考えなかったが、ただ坑夫と聞いた時、何となく陰気な心持ちがして、その陰気がまた何となく嬉しかった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
よし物理学者の分子に対するごとき
明暸
(
めいりょう
)
な知識が、
吾人
(
ごじん
)
の内面生活を照らす機会が来たにしたところで、余の心はついに余の心である。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
際立
(
きわだ
)
って
明暸
(
めいりょう
)
に聞こえたこの一句ほどお延にとって大切なものはなかった。同時にこの一句ほど彼女にとって不明暸なものもなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
写生文の存在は近頃ようやく世間から認められたようであるが、写生文の特色についてはまだ誰も
明暸
(
めいりょう
)
に説破したものがおらん。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小野さんの句切りは例になく
明暸
(
めいりょう
)
であった。
稲妻
(
いなずま
)
ははたはたとクレオパトラの
眸
(
ひとみ
)
から飛ぶ。何を
猪子才
(
ちょこざい
)
なと小野さんの額を射た。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
これでもまだ抽象的でよくお分りにならないかも知れませんが、もう少し進めば私の意味は
自
(
おのずか
)
ら
明暸
(
めいりょう
)
になるだろうと信じます。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
答案が有力であるためには
明暸
(
めいりょう
)
でなければならん、せっかくの名答も不明暸であるならば、相互の意志が疏通せぬような不都合に陥ります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ことに困るのは、自分の動機を
明暸
(
めいりょう
)
に解剖して見る必要に
逼
(
せま
)
られない彼女の余裕であった。余裕というよりもむしろ放慢な心の持方であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
結果は
明暸
(
めいりょう
)
であった。彼はようやく彼女を
軽蔑
(
けいべつ
)
する事ができた。同時に以前よりは余計に、彼女に同情を寄せる事ができた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もっともこの分け方の方が、
明暸
(
めいりょう
)
で適切のように思われますから、双方違っていてもけっして諸君の御損にはなりません。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小野さんは自分の
考
(
かんがえ
)
に間違はないはずだと思う。人が聞けば立派に弁解が立つと思う。小野さんは頭脳の
明暸
(
めいりょう
)
な男である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小六は始めのうち何にも口を出さなかったが、だんだん兄夫婦の話を聞いているうちに、ほぼ関係が
明暸
(
めいりょう
)
になったので
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ひまがあったら、この感じを
明暸
(
めいりょう
)
に解剖して御目にかけたいと思うが今では、そこまでに頭が整うておりませんから一言にして不愉快な作だと申します。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
真を写す文学の特性はほぼこれで
明暸
(
めいりょう
)
になりましたから、進んで善、美、壮を叙してこれに対する情操を維持しもしくは助長する文学の特性に移ります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また批評をしようとすれば複雑な関係が頭に
明暸
(
めいりょう
)
に出てくるからなかなか「甲より乙が偉い」という簡潔な形式によって判断が浮んで来ないのであります。
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
徹頭徹尾
明暸
(
めいりょう
)
な意識を有して注射を受けたとのみ考えていた余は、実に三十分の長い間死んでいたのであった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
心理学者の説によりますと、我々の意識の内容を構成する一刻中の要素は雑然
尨大
(
ぼうだい
)
なものでありまして、そのうちの一点が注意に
伴
(
つ
)
れて
明暸
(
めいりょう
)
になり得るのだと申します。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
分りやすく
明暸
(
めいりょう
)
になる代りにははなはだ単調にして有名なる風邪引き男が創造されてしまいます。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すべて一分間の意識にせよ三十秒間の意識にせよその内容が
明暸
(
めいりょう
)
に心に映ずる点から云えば
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてできるだけ大きな声と
明暸
(
めいりょう
)
な調子で、
私
(
わたし
)
は子供などに会いたくはありませんと云った。杉本さんは何事をも意に介せぬごとく、そうですかと軽く答えたのみであった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これに反して人のためになる仕事を余計すればするほど、それだけ己のためになるのもまた明かな
因縁
(
いんねん
)
であります。この関係を最も簡単にかつ
明暸
(
めいりょう
)
に現わしているのは金ですな。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
頭脳が比較的
明暸
(
めいりょう
)
で、理路に感情を
注
(
つ
)
ぎ込むのか、または感情に
理窟
(
りくつ
)
の
枠
(
わく
)
を張るのか、どっちか分らないが、とにかく物に筋道を付けないと承知しないし、また
一返
(
いっぺん
)
筋道が付くと
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
冒頭に述べた明治以前の道徳と明治以後の道徳とをちゃんと反射している事が
明暸
(
めいりょう
)
になりましたから、我々はこの二つの舶来語を文学から切り離して、直に道徳の形容詞として用い
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平生から
繋続
(
つなぎ
)
の取れない魂がいとどふわつき出して、実際あるんだか、ないんだかすこぶる
明暸
(
めいりょう
)
でない上に、過去一年間の大きな記憶が、悲劇の夢のように、
朦朧
(
もうろう
)
と一団の
妖氛
(
ようふん
)
となって
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昔は数学が好きで、随分込み入った
幾何
(
きか
)
の問題を、頭の中で
明暸
(
めいりょう
)
な図にして見るだけの根気があった事を
憶
(
おも
)
い出すと、時日の割には非常に
烈
(
はげ
)
しく来たこの変化が自分にも恐ろしく映った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
始めは「誰と?」と聞こうとしたが、聞かぬ前にいや「
何時
(
なんじ
)
頃?」の方が
便宜
(
べんぎ
)
ではあるまいかと思う。いっそ「僕も行った」と打って出ようか知ら、そうしたら先方の答次第で万事が
明暸
(
めいりょう
)
になる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
道徳と文芸の関係は大体においてかくのごときものであるが、なお前に
挙
(
あ
)
げた浪漫自然二主義についてこれらがどういう風に道徳と交渉しているかをもう少し
明暸
(
めいりょう
)
に調べてみる必要があると思います。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
青天白日の下に
掌
(
てのひら
)
をさすがごとき
明暸
(
めいりょう
)
なものでもいい——。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
暸
部首:⽇
16画
“明”で始まる語句
明
明日
明瞭
明後日
明石
明晰
明朝
明白
明星
明方