まわ)” の例文
しかるに回教を奉ずるアラビア人は、無毒の蛇を捕え頭を去り体を小片に切り串に貫き、火の上にまわしながらレモンや塩や胡椒こしょう等を振り掛け食う。
或る貝殻は、まわり階段のやうになつて居り、或るものは大きな角を張り出して居り、又他の貝殻は嗅ぎ煙草入れのやうに開いたり閉ぢたりしてゐます。
左手にも右手にも一本ずつの杖を持ち、げんに応じ、気合いにこたえ、二本の杖を、二本の傘のごとくまわして見せた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど其丸い者と云うのは何だえ(大)色々と考えましたが外の品では有ません童子こどもまわ独楽こまであります
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
廻り燈籠どうろうの人物の影が、横に廻らず上下にまわったらあたかも予が見た所に同じ。しかし影でなくて朦朧もうろうながら二人の身も衣装もそれぞれ色彩を具えた。
それは打ち込みもするし、ぎもするし、突きもするし、まわしもするし、片手でも使うし、両手でも使う。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つるを離れて行った七色の点が星のように馬場を駈け出した。——巨きな賭博の回転盤ルーレットまわり出したのだ。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兵庫は、身を沈めながら、左の手で、その足を軽くすくった。——丑之助は自己の迅業はやわざと自己の力で、竹とんぼみたいにまわったまま、兵庫の後ろへもんどりを打った。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
波打ぎわからせあがるしおの香が白く煙っている。洋館の屋根の風車は勢いよくまわっていた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さいったと見えたとたんに、その手から水の走るような一刀が智深の胸先三寸の辺を横に通った。かわすまでのことはない。智深の錫杖は傍らの丘小一へ向って一つぶんとまわる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むらむらうごきまわるのは、上杉勢の人影ばかりではない。霧の濃淡も、怖ろしい勢いで渦まいている。そして陽の光が透して来るたびに、何か無数なものが、霧の裏でキラキラ光る。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
急角度に、兵列は右へ右へとまわり出した。そしてこんどは、それまでの縦隊一列を、歩みつつまわりつつ変更して、各部将の指揮の下に、三行四段という陣形にはっきり備えを正し始めた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
にわかに、戸惑いし出し、くるくるまわったかと思うと、ぱッと、逃げ出した。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
列の首端は、方向を一転、道をまわって、秀吉の前を通って行く。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)