放火ひつけ)” の例文
先生と姐ごとをやっつけようというので人数を入れて放火ひつけをして、どさくさまぎれにお二人さんを、討って取ろうともくろんだので。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
尤も、あの放火ひつけ道具を隱してある場所が、もつと早く判れば、何でもなかつたんだが、市五郎の家の納屋とは氣がつかなかつたよ。
放火ひつけをした女、どろぼうした女、殺した女、殺された女、およそ問題になるほどの淪落りんらくの女を調べる気になりました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
然し、その秋から断行された町奉行の、放火ひつけ盗賊とうぞくあらための厳しさは、彼等の仲間にもひどくたたって、二両などと云う金の都合のつく者は一人もなかった。
お美津簪 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「豚が放火ひつけをするわけはないんだから、失火の直接の原因をつくった、といったら、おわかりになるはずですが」
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
何だって意固地な奴等、放火ひつけ盗賊、ちょッくらもち、掏摸すり兄哥あにい、三枚目のゆすりの肩を持つんでしょう。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たとへ放火ひつけ殺人ひとごろし大罪だいざいにて監獄にるとも
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
放火ひつけの訴人は、白銀三十枚の褒美だ。そいつを誰が取るか、聽いて來い、八、番所へ行つたら解るだらう」
「邪悪——そうだ、女をとりわけ憎んだっけ。……強盗おしこみ放火ひつけ殺人ひとごろし、ありとあらゆる悪業を働いた野郎だ」
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
放火ひつけも人殺もお茶うけにして退けかねない、言語道断の物語を聞く内にも、おぞ毛を震って、つまはじきをするよりも、むしろいうべからざる一種のあわれさを感じて、稲妻のごとく
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「して、その放火ひつけは誰だ」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「狼どころかもっと怖い、山窩だっているのでございますよ。放火ひつけと泥棒と殺人ひとごろしと、三つを兼ねた山窩がね」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ほかじゃございませんが、万七の伝言ことづてを持ってめえりました。——訴人があって、放火ひつけは仲吉に決ったから、縄張違いだが、八丁堀の旦那方のお指図で挙げて行く。
放火ひつけよ。」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうしてそいつへ火を点けな! 放火ひつけに行こう、放火ひつけにな! がいけないぜ、誤解しては! 何んの家になんか火をつけるものか! 真っ暗な人間の心の中へ
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「その代り、あんまり早く放火ひつけ道具を見つけたら、反つて仲吉が疑ひをますぢやありませんか」
「ナニ拙者と同じように、放火ひつけ商売だとおっしゃいますので?」さもさも驚いたというように、若い武士は胸を背後うしろへ引いたが、「拙者は決して放火などはしませぬ」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「何時の世になつたら、惡い事をする奴が無くなるのでせう。喧嘩だ、殺しだ、泥棒だ、放火ひつけだと、毎日々々惡い人間を追ひ廻して居るこちとらだつて、大概イヤになるぢやありませんか」
「たった今し方も申しました、妾の本当の商売は放火ひつけ商売なのでございますよ。で、石置き場の空屋敷では、その本職の放火商売人として、あなたにお目にかかりましたはずで」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
上野こうずけ下野しもつけ武蔵むさし常陸ひたち安房あわ上総かずさ下総しもうさ相模さがみと股にかけ、ある時は一人で、ある時は数十人の眷属けんぞくと共に、強盗おしこみ放火ひつけ殺人ひとごろしの兇行を演じて来た、武士あがりのこの大盗が
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「めっきり最近は横暴を極め、山を下って人里へ出、放火ひつけをしたり強盗をしたり、婦女子を掠めたり、旅人を殺したり、それがみんな我々どもの、責任になるのでやり切れませんて」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
(宿へ放火ひつけでもしてやろうか!)
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
とまた放火ひつけが行われた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)