トップ
>
放擲
>
はうてき
ふりがな文庫
“
放擲
(
はうてき
)” の例文
飯島
(
いひじま
)
夫人——
栄子
(
えいこ
)
は一切の事を
放擲
(
はうてき
)
する思をした
後
(
あと
)
で、子供を東京の家の方に残し、年をとつた女中のお
鶴
(
つる
)
一人連れて、漸く
目的
(
めあて
)
とする療養地に着いた。
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
迷信は彼等を禁籠する
囚宰
(
しうさい
)
となり、弱志弱意は彼等を枯死せしむる
荒野
(
あれの
)
となり、彼等をして人間の霊性を
放擲
(
はうてき
)
して、
自
(
みづか
)
ら甘んじて眼前の権勢に屈従せしむるに至りぬ。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
あれほど深い自信のあるらしい芸術上の仕事などは忘れて、
放擲
(
はうてき
)
して、ほんとうにこの田舎で一生を
朽
(
く
)
ちさせるつもりであらうか。この人は、まあ何といふ不思議な夢を見たがるのであらう……。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
室
(
へや
)
の
片隅
(
かたすみ
)
に
放擲
(
はうてき
)
して置いた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
然
(
しかれ
)
どもこの
癖漢
(
へきかん
)
の
冷々
(
れい/\
)
たる
苦笑
(
くせう
)
を
起
(
おこ
)
すのみなる
事
(
こと
)
を
示
(
しめ
)
し、
實際家
(
じつさいか
)
を
卑
(
いや
)
しむの
念
(
ねん
)
をあらはし、「でなくば
生命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
てんのみ。
運命
(
うんめい
)
に
服從
(
ふくじゆう
)
し、
百事
(
ひやくじ
)
を
放擲
(
はうてき
)
し」、
云々
(
しか/″\
)
の
語
(
ご
)
を
發
(
はつ
)
せしむるに
至
(
いた
)
る。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
彼の蝗を捉へようとする身構へと手つきとを見る毎に、彼等は彼等自身が既に成功して居るも同然な虫を
放擲
(
はうてき
)
して、主人の手つきを見つめたまま、何時までもその恵みを待ちうけて居るのであつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
“放擲”の意味
《名詞》
放擲(ほうてき)
投げ捨てること。投棄すること。
放り出すこと。
(出典:Wiktionary)
放
常用漢字
小3
部首:⽁
8画
擲
漢検1級
部首:⼿
18画
“放”で始まる語句
放
放蕩
放埒
放火
放縦
放恣
放逐
放肆
放埓
放免