ぬか)” の例文
旧字:
盗賊とうぞくどもはびっくりしてきあがりますと、の前に大きなおにがつっ立ってるではありませんか。みんなきもをつぶして、こしぬかしてしまいました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
尋常よのつねの犬なりせば、その場に腰をもぬかすべきに。月丸は原来心たけき犬なれば、そのまま虎にくってかかり、おめき叫んで暫時しばしがほどは、力の限りたたかひしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
ところが、どうして、そこにぬかりはねえつてことよ、ちやんと奴さん帽子をかぶり、手袋をはめてゐくさつただもの。
例のものをぬからずパチッとやらかし、そしてそのパチッて音をまぎらすようにバタンとドアを締めたんですが、なんだかパチッて音のほうがひどく耳に残って
あやつり裁判 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「あっ、幽霊だ!」と一人は覚えず叫んで、其処に腰をぬかした。同じくこれを見た一同は満身に水を浴せられたようにぶるぶると手足がふるえてすくんでしまった。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
或種のひとは、そういうところでぬからず自家広告をいたしますし。
其処そこぬかりのない男です。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甚兵衛はびっくりして、あっ! といったまま、こしぬかさんばかりになって、そこにたおれかかりました。するとその真黒まっくろなものが、からからとわらいました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)