手込てごめ)” の例文
これも亥太郎の手込てごめに逢つて、九死一生の危いところを救はれ、平次の取なしで少しばかりの罪はそのまゝ流してもらひました。
巡礼「はいはい、これは親方さんでございますか、まだ御挨拶もいたしませんで、此の者を手込てごめに致しまして誠に相済みません」
「そのほか辻斬つじぎり流行はやる、女の子は手込てごめにされる、京都みやこへ近いこのあたりでも、ほんとに気が気ではありませぬ」
手込てごめにせんとは不屆なり愼んで此方の調べをうけよとしかつけるに五兵衞はハツと心付是はまことに恐れ入り奉つる彼奴かやつに悴を殺されたる無念の餘り御役人樣の御前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
口惜くやしい、わ、わたしは、こんな所へ手込てごめに連れてこられた上に、おっかさんが死んでも家へ帰られない」
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
去年の暮おめえ手込てごめにして済まなかった、面目次第もねえ、勘忍してくんねえ、おらア知らねえで旦那のどてっ腹をえぐりにようと思ったら
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「言うまいと思えど言わでは事が済まず。そなたは過ぐる夜、机竜之助が手込てごめって帰ったな」
しかも、そいつア美しい生物で、イヤだと泣くのを手込てごめにして、お関船せきぶねの底へ隠し、他領者を入れちゃならぬ御城下へくわえこみながら、殿様の目をかすめているという人相だ……
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半五「困るなアそんなことを云って、己が今心配しんぺえして居る処へ泣込んで来て、ほんとに困るなア、なに半治が手込てごめにすると、なに酔って居るんだろう」
「さあ、水車小屋で手込てごめにした悪者は誰でしょう」
重助「はい/\何ともハヤ御親切さまのお心掛け、お礼の申し上げようもございませんが、ツイ腹立ち紛れに手込てごめな事をいたしました、どうか御勘弁を願います」
巡「また左様そう云う悪い者があったら手込てごみに谷川へ打込む事はならぬ、すぐ派出もるものじゃから訴えなければならんに、手込てごめにする事はない、なぜ届けいでんのじゃ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何うぞ私のねがいかなえてください、それともかんければ詮方せんかたがない、もう此の上は鬼になって、何の様な事をしても此の念を晴さずには置かん、仕儀によっては手込てごめにもせずばならん
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)