“懷(ふとこ)” の例文
新字:懐
打越て堅石部(かたいしべ)や草津宿草枯時(くさがれどき)も今日と暮(くれ)明日(あした)の空も定め無き老の身ならねど坂の下五十三次半ば迄懷(ふとこ)ろの兒に添乳(そへぢ)を貰ひ當なき人の乳を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「自分の生活と學術とどつちが尊いと思つてゐるんだ」と今朝兄の云つた言葉が突然恐ろしい意味を持つて彼れの懷(ふとこ)ろに飛び込んで來た。
実験室 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
懷(ふとこ)ろを見ると大きい財布に小判が五枚と小粒で二兩あまり。これを殘して行くところを見ると、物盜りでないことはあまりにも明かです。
夜でも競うて父親の懷(ふとこ)ろに眠らうと力めて居るといふ有樣、それが實に今年八歳と十歳になる女の子の行爲である。
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
『未(ま)だ先(さき)に、「殘(のこ)らずお前(まへ)の懷(ふとこ)ろへ」と云(い)ふのがあつてよ』と愛(あい)ちやんが云(い)ひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
藤崎道十郎と更めて居たりしが妻お光は當年三歳に成し悴(せがれ)の道之助を懷(ふとこ)ろにして店請人赤坂傳馬町治郎兵衞店に小切商(こぎれあきな)ひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さア、人の懷(ふとこ)ろ具合までは知りませんが、本人がさう言つたんだから、當てのある仕事でせうよ、——親分はどうして、系圖のことを突つ込んで見なかつたんです」
殘(のこ)らずお前(まへ)の懷(ふとこ)ろへ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
女房に渡(わた)し少(すこし)だが單物(ひとへもの)でも買(かは)れよと無理(むり)に懷(ふとこ)ろへ入れ此事は決して沙汰(さた)なしに頼(たの)むなりと言捨(いひすて)て立歸りしが途中には穀平の丁稚(でつち)音吉に行合けるに重四郎聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
紙入の下には、八つに疊んだ眞新しい手拭と、一と折(をり)の懷(ふとこ)ろ紙。
「懷(ふとこ)ろ鏡(かゞみ)は?」