慈悲深じひぶか)” の例文
知て小西屋へ行しは兄の元益なれば是も如何なるたゝりや有んと元益と共にむねやすからず思ひゐたるに慈悲深じひぶかく山田が事は問給はで是を庄兵衞がかはりとなし養親やうしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
……お慈悲深じひぶかいおかただけに、お貯蓄たくはへつてはござりませんで、……おなくなりなさりますと、ぐに御新姐樣ごしんぞさまが、貴下あなたと、お年寄としよりかゝへて、お一人ひとり御辛勞ごしんらうをなさりました。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてたいへん慈悲深じひぶかくて、なんでも貧乏びんぼうな人たちにめぐんでやり、自分は、弟子でしわかいおぼうさんと二人きりで、大きな、ぼだいじゅのそばの小さな家に、つつましくくらしていました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ロレ おゝ、罪深つみふかや/\! おゝ、作法知さはふしらず、恩知おんしらず! これ、そなた罪科ざいくわ國法こくはふでは死罪しざいとある、しかるに慈悲深じひぶか御領主ごりゃうしゅそなたかたち、御法ごはふげ、おそろしい死罪しざい追放つゐはうとはへさせられた。