こほ)” の例文
旧字:
この歌の、「恋ひ来れば」も、前の、「心こほしき」に類し、ただ一つこういう主観語を用いているのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
雲といへば光こほしき玻璃の戸にあまりてしろく春はけつつ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そして、「心こほしき加古の島」あたりの情調には、恋愛にかようような物懐しいところがあるが、人麿は全体としてそういう抒情的方面の豊かな歌人であった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
こほしかる昼は待てどもうつ鐘のまたわづらはし人にこそよれ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
巻一(六七)に、「旅にしてものこほしぎの鳴くことも聞えざりせば恋ひて死なまし」は持統天皇難波行幸の時、高安大島たかやすのおおしまの作ったものだが、上の句が似ている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
小笠原嶋ブラボがはなに巻く渦のこほろこほろに故国くにこほしき
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
山ゆけばしみみにこほし日のさして黒木に萌ゆる色のやさしさ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
きぞのあさ友の行きたるこの道に日は当り居り見つつこほしむ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
山ゆけば春はこほしき仏の座子と目につきてうたたかなしも
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
神つ代のことこほしみてしらぬひ筑紫つくしのくにに果てし君はも
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
やはらかきからしのさやあかる日の光こほしみわれは行くなり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
山帰来葉ばらんはや山はこほしき日のむれもちひくるまむその葉摘みたむ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
竹煮草ふふめばこほし我と子とほのけくものを云ひつつ通る
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
空行けば目もこほしかも山ふかく人家居して衣干す見ゆ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くつわ虫ぜて気近き外の藪に赤みこほしき月円くあり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かなし母この母へば、赤石の硯の海のふかさこほしも。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
こほし、まかりゆかずば
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ただこほし、ははの国
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)