おか)” の例文
と思うと、慄然ぞっとして、頭髪かみのけ弥竪よだったよ。しかし待てよ、はたられたのにしては、この灌木の中に居るのがおかしい。
何となく彼は、かツとして続けて憎態なことを二三言云つたが、何だか彼はおかしかつた。——可笑しくもあつた。
鏡地獄 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「これご覧なされい、拙者初対面からおかしい奴と睨んでおりましたが、あんじょう大月玄蕃の間諜まわしものでござった」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小学校もいつか卒業間際まぎわになった時、同級の生徒の持っていた蟇口がまぐちが紛失した。たしかな証拠はなかったが、おたみの様子がおかしいということになって、学校の注意書が妾宅へ送られた。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
親父がやかましくって仕様がねえけんども、貴方あんたおれおかしな仲になっちまえば、友達が何うでも話をして、親父に得心のうさせる、どうせ親父は年いってるから先へおっんでしまう
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おかしいなあ。一体、何をこさえるのだろう」
乱世 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「何かおかしいことでもあるんですか?」
五階の窓:03 合作の三 (新字新仮名) / 森下雨村(著)
おかしいぞ」
老嬢と猫 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
おかしいな」
「名前」が活動するんだから一層おかしい……彼は、すれ違つた汽車の中に、厭に取り済して乗つてゐる自分を、チラリと見るやうな想ひに打たれたりした。
鏡地獄 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「へえ、シホらしいね。だが俺の名儀だなんておかしいぢやないか?」
鏡地獄 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)