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思慕
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しぼ
ふりがな文庫
“
思慕
(
しぼ
)” の例文
「静御前」と云う一人の
上﨟
(
じょうろう
)
の
幻影
(
げんえい
)
の中に、「祖先」に対し、「主君」に対し、「
古
(
いにし
)
え」に対する
崇敬
(
すうけい
)
と
思慕
(
しぼ
)
の情とを寄せているのである。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
断
(
だん
)
じて非なりと信ずるゆえに、たとえ
当年
(
とうねん
)
の男
伊達
(
だて
)
の意気を
思慕
(
しぼ
)
するとはいえ、こんにちの男一匹は長兵衛そのままを写して
可
(
か
)
なりとは思わぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
が、おせんの
胸
(
むね
)
の
底
(
そこ
)
にひそんでいる、
思慕
(
しぼ
)
の
念
(
ねん
)
は、それらの
噂
(
うわさ
)
には一
切
(
さい
)
おかまいなしに
日毎
(
ひごと
)
につのってゆくばかりだった。それもそのはずであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
と、口にはださないが、
熱
(
あつ
)
い
思慕
(
しぼ
)
をこめて、ジイッとみつめているうちに、思いもうけぬ
邂逅
(
かいこう
)
の
情
(
じょう
)
が、ついには、
滂沱
(
ぼうだ
)
の
涙
(
なみだ
)
となって目にあふれてくる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
というのは、われわれを高めるものは情熱であり、われわれの
思慕
(
しぼ
)
は常に恋愛ならざるを得ないからだ。——これがわれわれの喜びでもあり、はじでもある。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
▼ もっと見る
そんなに
悪
(
あく
)
どい苦しみだとは、孝子には察しもつかなかったが、桜津が自分への
思慕
(
しぼ
)
だと、思いちがいをした、長恨歌の、夕殿蛍飛思悄然という句を選みだしたということには
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
未知の国を初めてまのあたり
眺
(
なが
)
める感動と、あなたへの
思慕
(
しぼ
)
とがありました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
少くとも三吉の方から見れば、いかめしい大名の
奥御殿
(
おくごてん
)
に住む姫君と母とは、
等
(
ひと
)
しく
思慕
(
しぼ
)
の対象になり得る。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「タッジオは病身なのだ。たぶん長生きはしないだろう。」とかれはまたしても、
陶酔
(
とうすい
)
と
思慕
(
しぼ
)
が時々奇妙に解放された結果おちいる、あの客観的な気持で考えた。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
そして良人は、自分のことを思うていてくれているかしら、自分がこうして良人を
思慕
(
しぼ
)
しているように。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それはこの初老の男に、遠国と異郷への青年めいた
思慕
(
しぼ
)
をめざめさせた姿であった。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
有りていに云うと、彼の青春期は母への
思慕
(
しぼ
)
で過ぐされたと云ってよい。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“思慕”の意味
《名詞》
思 慕(しぼ)
思い慕うこと。恋しく思うこと。
(出典:Wiktionary)
思
常用漢字
小2
部首:⼼
9画
慕
常用漢字
中学
部首:⼼
14画
“思”で始まる語句
思
思召
思出
思案
思惑
思惟
思慮
思想
思切
思遣