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御旅館
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ごりよくわん
私の
知りあひに、
御旅館とは
表看板、
實は
安下宿に
居るのがあるが、
秋のながあめ、
陽氣は
惡し、いやな
病氣が
流行ると
言ふのに、
膳に
小鰯の
燒いたのや、
生のまゝの
豆府をつける。
拜見仕つるに徳川天一坊樣
御旅館との
御表札あり又
御玄關には
葵御紋の
御幕を
御旅館へ張せられ
町家には
御旅宿相成候や
剩さへ
御苗字の表札を
建させ給ふ事
不審に存じ奉る此段
伺ひ申さん爲今日
御招き申したり御身分の
義明かに
仰聞せられたしとぞ
相述らる時に天一坊
言葉を
爲難し依て
一先江戸表へ
御旅館を
修繕篤と
動靜見計ひ其上にて御下り有て然るべし其
間には江戸表の
御沙汰も相分り申さん
變に
應じて事を計らはざれば
成就の
程計難しといふに然ば江戸表に
旅館を