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御客
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おきやく
実は
今日は其用で
御父さんに
逢ひに
来たんですが、
今御客の様だから、
序と云つては失礼だが、
貴方にも
御話をして置きます
好まざるにより
強てと申譯もなしと云ふに亭主は大いに
悦びて
早々彌助をよび我等より
御客さまへ
御詫も申上たるに早速御勘辨下されたり然れども是に
懲て
以來よく/\氣を
「さあ、
御前達は
此所で
騷ぐんぢやない。
彼方へ
行つて
御出。
御客さまだから」と
制した。
其時、
誰だかすぐに
極め成ほど
御客さまの云るゝ通り實は酒も肴も御座れ共是は今申通り
今晩村の
寄合に
使ふ仕込の
肴夫ゆゑ御斷り申せしなり此上は
何卒御免下さるべしと
詫入るを武士は一向聞入ず
汝又僞りを
「でも、
御客も
何もないから
可いでせう。だつて六
疊の
方は
小六さんが
居て、
塞がつてゐるんですもの」
「だつて
御客なら
仕方がないぢやないか」