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得意顏
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とくいがほ
飛騨と
信濃の
境を
走る
峻嶺を「
日本アルプス」などと
得意顏に
唱へ、
甚だしきは
木曾川を「
日本ライン」といひ、
更に
甚だしきは、その
或地點を「
日本ローレライ」などといつたものがある。
ありましたれど
赤子に
着せる
物がないとか
聞きませば
平常の
心に
承知がならず
其の
夜通して
針仕事着るもの
二つ
遣はしましたと
得意顏の
物語り
徳は
陰なるこそよけれとか
聞しが
怪しのことよと
疑ふ
胸に
相談せばやの
心は
消えぬ
花子さま/″\の
患者の
話に
昨日往診し
同朋町とやら
若しやと
聞けばつゆ
違はぬ
樣子なりそれほどまでには