彫像てうざう)” の例文
何故なぜざまろ、可気味いゝきみだ、と高笑たかわらひをして嘲弄てうろうしない。おれてたはてたが、ふね彫像てうざうげたのは、貴様きさま蹴込けこんだも同然どうぜんだい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いづれも天竺てんぢくの名木で作つたものでせう、色彩しきさい剥落はくらくしてまことに慘憺さんたんたる有樣ですが、男女二體の彫像てうざうの内、男體の額にちりばめた夜光の珠は燦然さんぜんとして方丈はうぢやうの堂内を睨むのでした。
ながら、のまゝ、ひらきける、と小児こどもせなに、すそ後抱うしろだきにして彫像てうざうたけつて、まげが、天井裏てんじやううらたかところえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とびらはいると、無事ぶじであつた。おうらのまゝの彫像てうざうは、かげにちら/\とひとみうごいて、人待顔ひとまちがほ立草臥たちくたびれて、よこたさうにもえたのである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)