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幾尋
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いくひろ
ふりがな文庫
“
幾尋
(
いくひろ
)” の例文
春の水が春の海と出合うあたりには、
参差
(
しんし
)
として
幾尋
(
いくひろ
)
の干網が、網の目を抜けて村へ吹く軟風に、
腥
(
なまぐさ
)
き
微温
(
ぬくもり
)
を与えつつあるかと怪しまれる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
幾尋
(
いくひろ
)
ともなき
深淵
(
ふかきふち
)
の上にこのたなをつりて
身
(
み
)
を
置
(
おき
)
、
一条
(
ひとすぢ
)
の
縄
(
なは
)
に
命
(
いのち
)
をつなぎとめてその
業
(
わざ
)
をなす事、
怖
(
おそろ
)
しともおもはざるは此事になれたるゆゑなるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
わたしは海面よりもずっと下に生えている
珍
(
めずら
)
しい植物を見ることができました。それらは森の中の
巨木
(
きょぼく
)
のように、
幾尋
(
いくひろ
)
もある
茎
(
くき
)
をわたしのほうへさし上げていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
両岸とも下へ行く程
円
(
まる
)
く抉れて、岩面は磨いたように光沢を帯びている、それへ
幾尋
(
いくひろ
)
の深さあるか知れない
瀞
(
とろ
)
の水色が反射して凄い藍色の影が映っている。あたりは木立が深い。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
此所
(
こゝい
)
らがいゝだらうと船頭は船をとめて、錨を卸した。
幾尋
(
いくひろ
)
あるかねと赤シヤツが聞くと、六尋位だと云ふ。六尋位ぢや鯛は六※かしいなと、赤シヤツは糸を海へなげ込んだ。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
ここいらがいいだろうと船頭は船をとめて、
錨
(
いかり
)
を卸した。
幾尋
(
いくひろ
)
あるかねと赤シャツが聞くと、
六尋
(
むひろ
)
ぐらいだと云う。六尋ぐらいじゃ
鯛
(
たい
)
はむずかしいなと、赤シャツは糸を海へなげ込んだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
風に
揉
(
も
)
まれて
上
(
うわ
)
の
空
(
そら
)
なる波を起す、軽薄で騒々しい
趣
(
おもむき
)
とは違う。目に見えぬ
幾尋
(
いくひろ
)
の底を、大陸から大陸まで動いている
潢洋
(
こうよう
)
たる
蒼海
(
そうかい
)
の有様と形容する事が出来る。ただそれほどに活力がないばかりだ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
幾
常用漢字
中学
部首:⼳
12画
尋
常用漢字
中学
部首:⼨
12画
“幾”で始まる語句
幾度
幾
幾何
幾歳
幾日
幾人
幾許
幾年
幾個
幾干