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幾千萬
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いくせんまん
が、
人が
寄る
途端に、ぱちぱち
豆を
燒く
音がして、ばら/\と
飛着いた、
棕櫚の
赤いのは、
幾千萬とも
數の
知れない
蚤の
集團であつたのです。
先刻、もしも、
二階の
欄干で、
思ひがけず
目に
着いた
唯一匹がないとすると、
私は
此の
幾千萬とも
數の
知れない
赤蜻蛉のすべてを、
全體を、まるで
知らないで
了つたであらう。
殆ど、
五分置き
六分置きに
搖返す
地震を
恐れ、また
火を
避け、はかなく
燒出された
人々などが、おもひおもひに、
急難、
危厄を
逃げのびた、
四谷見附そと、
新公園の
内外、
幾千萬の
群集は