いとけ)” の例文
我れ死んだら老いたる祖父おじいさんいとけない妹はいかに歎くであろう、しかしこの瞬間に於いて我が死を止めてくれる者がないから仕方がないのだ。
愛か (新字新仮名) / 李光洙(著)
なにとはなしにはりをもられぬ、いとけなくて伯母をばなるひと縫物ぬひものならひつるころ衽先おくみさきつまなりなど六づかしうはれし
雨の夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お松はいとけない時分から諸国の旅をして歩きました。それ故に、はじめのほどは辛かったけれど足が慣れてみれば、世の常の女のように道に悩むことが少ないのであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
孔明は、このらせに、すぐ旅装をととのえ、太子たいし劉禅りゅうぜんを都にのこして、まだいとけない劉永りゅうえい劉理りゅうりの二王子だけを伴うて、旅の道も夜を日に継ぎ、やがて永安宮にきたりまみえた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだいとけなくて伯母をばなる人に縫物ならひつる頃、衽先おくみさきつまなりなどづかしう言はれし。
あきあはせ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)