巻物まきもの)” の例文
旧字:卷物
御主おんあるじ耶蘇様イエスさま百合ゆりのやうにおしろかつたが、御血おんちいろ真紅しんくである。はて、何故なぜだらう。わからない。きつとなにかの巻物まきものいてあるはずだ。
伝授すると云っても、その譜をかいてある巻物まきものをゆずるのです。座敷のまん中にむかい合って、弟子はその巻物をひろげて一心に見ていると、師匠が一度ふいて聞かせる。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一松斎はそういって、ぬかずく雪之丞を見下ろすと、祭壇に向って、柏手を打ち、深く、跪拝きはいして、いつも神霊の前に供えてある、黒木の箱のふたをはねると、中から、一巻の巻物まきものを取り出した。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
初めて落着いて田舎に住む彼等の眼の前に巻物まきものの如くのべて見せた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
また諸所しよしよ修道院しうだうゐんともらつて、もはや此世このよない会友くわいいうためいのりげ、其名そのな巻物まきものきとめて、てらからてらへと其過去帳そのくわこちやう持回もちまはつたなら、みんなさぞよろこことであらうが、だい