じゅん)” の例文
壮平は気が転倒てんとうしてしまって、一語も発することができないで居る。銅鑼は船内を一じゅんして、また元の船首で鳴っていた。出発はもう直ぐだ。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
典膳が師事してからまる九年め、師弟は九州を一じゅんし、四国を、船で駿河するがにつき、しばらくの後、江戸へはいって来た。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして丹念たんねんにつくったご馳走ちそうを、同じ血へ浸したわらづとの中に入れた。それを持ってカランポーの谷を一じゅんし、一キロおきぐらいに一つとずつを草のあいだへおいてきた。
コースを一じゅんした結果は、大江山がズバ抜けて成績がよく、ずっと落ちて普通の成績を示したのが蝋山教授と矢走千鳥で、雁金検事も西一郎も更に振わず
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
……とうとうたる太鼓たいこ……かたのごとき黄母衣きほろ赤母衣あかほろ白母衣しろほろ伝令でんれいが、番外ばんがいの五番試合じあい各所かくしょひかじょへふれて、にじのように試合場しあいじょうのまわりを一じゅんする……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黄母衣きほろ赤母衣あかほろ白母衣しろほろの三試合場しあいじょうを一じゅんし、大講会だいこうえ第一番の試合番組しあいばんぐみをふれてくるともなくかいあいずと同時に、あの祭壇さいだんの下にある大講会のむしろへ論客ろんかくがあがって
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)