尾羽をは)” の例文
また、「うち靡く春さり来れば小竹しぬうれ尾羽をはうちりて鶯鳴くも」(同・一八三〇)というのもあり、これも鶯の行為をこまかく云っている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
まだ五十そこ/\でせう、ひどく尾羽をは打枯らした中婆さんが、昨夜遲くなつてからやつて來て、水神の越後屋の寮にゐる三人娘は仔細しさいあつて命を狙はれてゐる。
廿七年來、誠に融通のきかなかつた舊幕人たちが、しかも尾羽をはち枯らした連中が刀を貰ひにくるのだ。
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
幸ひふもとの往來へ罷出まかりいで一當ひとあてあてんとぞんずるなり就ては御手下を我等に暫時ざんじ貸給かしたま一手柄ひとてがらあらはし申さんと云ふ大膳かくと聞て左京殿に我手をかすはいと易けれど此大雪では旅人たびびと尾羽をは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
学生たりし荒尾! 参事官たりし荒尾‼ 尾羽をは打枯うちからせる今の荒尾の姿は変りたれど、なほ一片の変らぬ物ありと知れる貫一は、夢とも消えて、去りし、去りし昔の跡無き跡を悲しとしのぶなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
また尾羽をはかへあしたもあらず。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
尾羽をは折れゆがむ、えせ小鷹
「女子供の下駄は大抵たいてい同じやうなものだ、それが何うした。——尾羽をは打枯うちからして居るがこれでも武士の端くれだぞ。何んの爲に人の家へ入つた。先づそれを言へツ」
いはれたものかソレ貴殿おまへが幸手の町へ來たときは尾羽をは打枯うちからした素浪人すらうにんくふくはずの身を可愛相かあいさうだと云て穀平では始終しじう世話を成れおや同前どうぜんに大恩をうけた其平兵衞さんさへ殺す程の大惡人兄弟ぶんぐらゐわたしの夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まことに尾羽をは打ち枯らした姿です。