たれ)” の例文
大廟たいびょうに入りて、事毎に問う。或ひと曰く、たれ鄹人すうひと礼を知ると謂うか。大廟に入りて事毎に問うと。子之を聞きて曰く、是れ礼なりと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
季康子問う、弟子たれか学を好むとす。孔子こたえて曰く、顔回がんかいというひとありて学を好みしが、不幸短命にして死し、今は則ちし。(先進、七)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
たれ我邦わがくにの現状に見て、金は一切の清めなりといへることわざの、遂に奪ふまじき大原理たるに首肯うなづかざらんや。近世最も驚くべきは、科学の進みなりとぞ。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
潜渓せんけいが孝孺に対する、称許しょうきょも甚だ至り、親切も深く徹するを見るに足るものあり。嗚呼ああ、老先生、たれか好学生を愛せざらん、好学生、たれか老先生を慕わざらん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たれか主の心を知りし、孰か彼と共に議することを為せしや、孰かまずかれにあたえてそのむくいうけんや、そは万物よろずのものは彼よりいで、かれにり、かれに帰ればなり、願くは世々ほまれ神にあれ、アーメン。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
知りたれど別に咎むる様子も無く殊に金起は兄施寧より心広くしてしば/\母に金など贈ることありければ母はかえって好き事に思い妾と金起の為めに首尾を作る事もある程なりき其内に妾はたれかの種を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
孔子こたえて曰く、政とは正なり、子ひきいて正しければたれえて正しからざらん。(顔淵、一七)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
すなわち其の至るところ又如何いかなるを知らず、近代を以て之を言えば、欧陽少卿おうようしょうけい蘇長公そちょうこうはいは、しばらく置きて論ぜず、自余の諸子、之と文芸のじょう角逐かくちくせば、たれか後となりいずれか先となるを知らざる也。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
哀公、問う、弟子たれか学を好むと為す。孔子こたえて曰く、顔回というひとありき、学を好み怒りをうつさず過ちをふたたびせざりしが、不幸短命にして死せり。今は則ち学を好むものを聞かざるなり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
世をこぞって たれかくあらざらん
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)