すゑ)” の例文
と声を掛けたのを初めに、英也とすゑの叔父のきよしとは四五年ぶり身体からだをひたひたと寄せてなつかしげに語るのであつた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
すゑの弟は不如意な寺の財政の中から、無理に中學校へ通はしてあるけれど、これは何時いつ物になるやら分らぬ。
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
此の良正は系図では良茂の子になつてゐるが、おそらくは誤りで、国香の同胞で一番すゑなのであらう。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
皇朝くわうてうの昔、七〇誉田ほんだの天皇、兄の皇子みこ七一大鷦鷯おほさざききみをおきて、すゑ皇子みこ七二菟道うぢきみ七三日嗣ひつぎ太子みことなし給ふ。天皇崩御かみがくれ給ひては、兄弟はらからゆづりて位にのぼり給はず。
正弘六世の祖備中守正邦まさくにすゑの子に小字せうじを百之助と云ふ人があつた。後の隼人正容まさかたである。正徳五年正月に父正邦がみまかり、三月に兄伊勢守正福まさよしが所領の内五千俵を割いて正容に与へた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
日の入ると共に最後の燭は吹きされて、讀誦は全く果てたり。暗黒は審判の圖の全面を覆へり。絲聲肉聲は又湧きて、世のすゑの審判の喜怒哀樂皆洋々たる音となりつゝ、われ等の頭上を漲り過ぐ。
堺の大濱に隱居して、三人の孫を育ててゐるお梶が、三歳になるすゑの孫を負つて入つて來た。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
これを世のすゑの審判の圖となす。
堺の大浜に隠居して、三人の孫を育ててゐるおかぢが、三歳になるすゑの孫を負つて入つて来た。
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)