姿態ポーズ)” の例文
この姿態ポーズのまま、路地で犬を蹴飛ばしたことも、ドブ板をハネ返したことも、格子戸をはずしたことも気が付いていたのでしょう。
欣々夫人の座臥ざが居住の派手さを、婦人雑誌の口絵で新聞で、三日にあかず見聞みききしているわたしたちでも、やや、その仰々しい姿態ポーズに足をとどめた。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
大石段は目的のない人間のいろんな姿態ポーズで一杯に重くされ、丹念に暇にあかして薄い紙と厚い紙とがはなればなれになるまで踏みにじられた煙草の吸口などが落ちていた。
ロンドン一九二九年 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
お尻の上の帯をゆすぶりゆすぶり玄関のドアを開いて、新派悲劇みたいな姿態ポーズを作って案内したから吾輩も堂々と玄関のマットの上に片跛かたびっこ護謨ゴム靴を脱いで、古山高帽を帽子掛にかけた。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼は、自分のあらゆる姿態ポーズあうちで、机に片ひぢをのせ、眼を青空の一角に注ぎ、その眼の高さに薄手のコーヒー茶わんを差あげてゐる瞬間がもつとも美しく、もつとも似合はしいと思つてゐた。
田巻安里のコーヒー (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「中の島」の基点になるポン・ド・グルネルの橋の突き出しに立っている自由の女神の銅像が炎天にえて姿態ポーズの角々から青空に陽炎を立てゝいるように見える。橋を日傘が五ツ六ツ駈けて行く。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
美しい姿態ポーズで椅子にかけて、ゆっくりと部屋の中を見廻している。
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
卓子テーブルの前に死んだ糸子と同じ姿態ポーズで坐るのは、首の座へ直るような恐ろしさでしょう。が、花房一郎はそんな事に少しも頓着しません。
踊る美人像 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
歌舞伎役者のせりふもどきで錦子は、満足した自分の体も、そこへ、その通りの姿態ポーズひじを枕にして、ころがった。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
血潮に染んで大きいてのひらの跡らしいものの殘るのも、下手人の性格を暗示してゐるやうで、ゆがんだ姿態ポーズと共に、平次の注意をひきつけます。
この姿態ポーズのまゝ、路地で犬を蹴飛ばしたことも、ドブ板をハネ返したことも、格子戸を外したことも氣が付いて居たのでせう。
お喜多は色をうしないました。よろよろとなると、わずかに葛籠に支えられて、胸を抱いたまま、踊りの幕切れのような悩ましい姿態ポーズになります。
灯を背にして、ほの白い顔、岩佐又兵衛いわさまたべえの絵から抜け出したような、妖艶ようえん姿態ポーズが、相手を苛立いらだたせずにはおきません。
わなへ入れた恰好に締め上げられて、車井戸の柱に縛られた樣子は、まさに『責めの姿態ポーズ』の典型的なもので、非凡の美しさと見る人もあるでせう。
地味な藍色あゐいろの袷、赤い帶揚が僅かに燃えますが、浮世繪から拔け出したやうな非凡の姿態ポーズで、二人の先に立つて、イソ/\と奧へ案内するのです。
灯を背にして、ほの白い顏、岩佐又兵衞の繪から拔出したやうな、妖艶な姿態ポーズが、相手を苛立たせずには措きません。
平次も少し引入れられ気味に、そんな事を言って、水槽の左右に立った美女の、素晴らしい姿態ポーズに眺め入りました。
まさに背後うしろから背中を突いたもの、お月見には不自然な姿態ポーズですが死の直前に下女のお新が見た格好——斜め後ろ向に欄干にもたれていた——という形から言えば
お勢は新しく湧いて來る涙をどうすることも出來ずに、身をひねつて、袖口を顏に押當てました。痛ましくもふるへる肩のあたり、何と言ふ艶めかしくも美しい怨みの姿態ポーズでせう。
唐船男爵の一粒種で、才色兼備の見本のような令嬢、毎月変った姿態ポーズの写真が、二枚や三枚は、婦人雑誌へ出ない事が無いという、一代の人気を背負しょって立ったような令嬢です。
判官三郎の正体 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
お勢は新しく湧いて来る涙をどうすることも出来ずに、身をねじって、袖口を顔に押当てました。痛ましくもふるえる肩のあたり、何というなまめかしくも美しい悲しみの姿態ポーズでしょう。
下手人の性格を暗示して居るようで歪んだ姿態ポーズと共に、平次の注意をひきつけます。
見立て三十六歌仙かせん在五中将ざいごちゅうじょうが借金の言い訳を考えているといった姿態ポーズです。
例の惱ましき姿態ポーズ
例の悩ましき姿態ポーズ