かばね)” の例文
大昔にも姓氏というものは歴然と存している、すなわち源・藤原というのが氏であって、朝臣あそんとか宿禰すくねとかいうのがかばねである。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
其のかばねを見ても、譯語おさと謂ひふびとと謂ひ文首と謂ひ船首と謂ふ種類は、皆此の海外交通に關係して船の運上に關する文書などを司り、貨物を檢査して居つたので
聖徳太子 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
境を定め邦を開きて、ちか淡海あふみに制したまひ一二かばねを正し氏を撰みて、とほ飛鳥あすかしるしたまひき一三
福地の統治者又は支配者をさしていうかばねであって、また職名とも見られ、実際に於ては其土地人民を領有し、つ之を世襲することさえ稀ではない、造は御臣みやつこの意である。
マル及ムレについて (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
今にもかの女召して、おのれが罪なき事を覚らせ給へ。助いよよいかりて、我が下司したづかさに県のかばねを名のる者ある事なし。かくいつはるはつみますます大なり。豊雄、かくとらはれていつまで偽るべき。
この源または藤原はかばねといって、名字とは全然別のものであるというのが古来学者の説である。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ここに天皇、天の下の氏氏名名の人どもの、氏かばねたがあやまることを愁へまして、味白檮うまかし言八十禍津日ことやそまがつひさきに、玖訶瓮くかべを据ゑて、天の下の八十伴やそともの氏姓を定めたまひき。
何か氏かばねのある者でないと、外國から來た者は穢多同樣の賤民にされたのでありますから、外國から來た連中は私は誰某の末孫であるといふ迂散臭い系圖か何かを拵へて、私は漢の高祖
近畿地方に於ける神社 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
天皇、ここに阿知の直を、始めてくらつかさ二二けたまひ、また粮地たどころ二三を賜ひき。またこの御世に、若櫻部わかさくらべの臣等に、若櫻部といふ名を賜ひ、また比賣陀ひめだの君等に、比賣陀の君といふかばねを賜ひき。