好者すきもの)” の例文
好者すきものとなってみると、お雛様ひなさま飯事ままごとのようなことばっかりしていたんでは納まらない、そういう図々しいことをしてみたがるんです。
そこでこれを一旦また他の好者すきものわかちまして、そうして新しい刺激を得るような古陶器を再び取り入れようというのが今度展観する私の目的であります。
わづかに幾局の勝負を決せし盤の上には、ほとんど惜き夢の間にれて、折から雨もれたれば、好者すきものどももつひ碁子きしをさめて、惣立そうだちに帰るをあたかも送らんとする主の忙々いそがはしともすころなり
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この不気味な好者すきものを迎え乍ら、さすがにキャッともスウとも言う者の無いのはたしなみでしょう。「それ殿様」と電気が伝わると、毛氈を滑り落ちて、下々の者は青草の上に両手を突きます。
うちればかならふでを取つて書いて好者すきものと、巌谷いはやからうはさの有つたその人で、はじめて社にとはれた時は紺羅紗こんらしや古羽織ふるばおり托鉢僧たくはつそうのやうな大笠おほがさかぶつて、六歩ろつぱうむやうな手付てつきをして振込ふりこんで来たのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「いやもう、その辺のことは格別——水戸様ばかりじゃござんせんわい、わしらが聞いた大名地頭の好者すきものには、まだまだ凄いのがたんとございますって。ここのお代官なんぞは、やわいうちでござんすべえ」
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)