奉公口ほうこうぐち)” の例文
「いや、同じ名前ではない、それがおまえなんだ。おまえはジョリクールの所へ奉公口ほうこうぐちさがしにいなかから出て来たのだ」
東京とうきょうには、まだかおらない叔父おじさんがんでいられて、いい奉公口ほうこうぐちをさがしてくだされたからです。
真吉とお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
地蔵経じぞうきょうしてかどへたち、行乞ぎょうこつぜにべ物は、知りえた不幸ふこうの子にわけてやる。ほんとにおやも家もない子供は、自分の宿やどへつれて帰って、奉公口ほうこうぐちまでたずねてやる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先頃越後國猿島さるしま河原よりあとくらましたる昌次郎夫婦の者はおや憑司とはかりてころせし男女の死體したい己等おのれら着物きものきせそれより信州の山路やまぢにかゝりしのび/\に江戸へ來りて奉公口ほうこうぐち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「そんなことで、かえってくるばかがあるか?」と、おとうさんは、しかりましたが、おかあさんは、そこばかりが、奉公口ほうこうぐちでないといって、ほかをさがすことにしました。
子供はばかでなかった (新字新仮名) / 小川未明(著)
祝し合さて久藏言出けるにさて貴殿きでんには備前岡山なる城下によき奉公口ほうこうぐち有て主取なし給ふ由承まはりたるのみにて其後はえて音信いんしんも聞ず其中に我等は御當地へ引越ひきこしたれば猶以て御無沙汰ごぶさた打過うちすぎしに而て此の度如何なる故有て岡山より江戸には下り給ひしといふを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのときは、そのときで、田舎いなか奉公口ほうこうぐちのないではなし。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)